ごあいさつ

2017年度数理工学専攻 専攻長 永持 仁


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理工学の専門分野名は,1959年4月,京都大学工学部に数理工学科が創設されたところから生まれました.その9年後に京都大学工学部情報学科が創設され,このあと,四半世紀の歳月を経て,1995年に工学部において,数理工学科と情報学科が統合されました.それぞれ現在,情報学科の数理工学コース,計算機科学コースに対応しています.また,1998年に大学院情報学研究科が創設され,そのうちの六専攻の一つとして数理工学専攻が誕生しました.数理工学科が設立された目的は,応用数学,応用力学および応用物理学に関する基礎知識を基盤とし,当時発展してきた制御工学,計算機工学,計画工学,システム工学などの総合的工学を取り入れ,工学全般にわたって広い視野を有する技術者ならびに研究者を養成することでありました.この分野横断的な視点は,現在では,工学にとどまらず,経済学,経営学などの社会科学にまで適用分野が広がり,計算機性能の向上,通信技術の革新に伴い,ユビキタス,クラウド,スマートコミュニティ,ビッグデータなどのキーワードで表されるように,常に最先端の情報数理システムの基盤理論を支え,ますますその存在価値の輝きを放ってきています.私が工学研究科数理工学科の学生であったとき,数理工学出身者は「社会に出てからも潰しがきく」と言われていました.あまり聞こえの良い言い方には思われないかもしれませんが,これは世の中の技術革新が進み,社会や産業のシステムが入れ替わっていっても,それを支えるため新たな手法を創出する数学的,物理的な基礎理論を,数理工学という学問分野は提供し続けていけるということなのです.いまや,大量のデータから知識を抽出し,システムの改善法を構築するために,情報構造を数理工学的に研究するデータサイエンスの確立が急務となっており,日本でも大学でデータサイエンティストを養成するための改革が政府主導で進められています.当専攻からの就職先は,重工業,家電・自動車メーカー,通信事業系企業,金融・保険・証券の会社から最近ではIT企業まで幅広いのが特徴です.今年度,就職担当として企業からの採用活動の話を直に伺っていると,自動運転技術をはじめ,AIが様々なところに利用されるようになり,数理,情報分野の人材を確保する要望がこれまで以上に非常に高まっています.インターネットが普及し,社会の仕組みが変わったのはまだ比較的最近のことです.これから将来,科学技術の革新により,いつ,現在流行りのシステムが無用のものなり,代わりの新しいシステムを構築し,効率よい運用・利用法の開発が求められるようになるか分かりません.そのようなときにでも,数理工学の学問は常に対処する術を生み出すことができる「しなやかさ」を持っているのです.時代を超えて活躍することのできる人材を輩出することのできる数理工学専攻で学んでみようという若人をお待ちしています.



数理工学専攻長 永持 仁
(ながもち ひろし)


お問い合わせ先:〒606-8501
京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻 専攻長宛
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Last-modified: 2017-03-31 (金) 18:46:24 (119d)