ごあいさつ

2012年度数理工学専攻 専攻長 中村 佳正

理工学専攻は京都大学工学部数理工学科の大学院課程にそのルーツをもちます。数理工学科は、高度成長期を迎えようとしていた我が国にあって、電気工学、機械工学、土木工学、化学工学などの工学の諸分野、さらには、経済学、経営学などの社会科学に共通する数理的な方法を創り出す学問分野の教育と研究を行うために創設されました。その後、1970年に一部の研究室が参加して情報工学科が設置されましたが、四半世紀後の1995年に数理工学科と情報工学科は統合して情報学科となり、さらに、1998年の大学院情報学研究科の創設とともに、新生 数理工学専攻が誕生しました。

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度経済成長、オイルショック、バブル景気、失われた10年、ITブーム、ユビキタスからクラウド、さらには、スマートコミュニティへとめまぐるしく変わる時代の最前線にあって、対象のみを扱う工学で長続きしたものはありません。しかし、数学と力学をベースとする数理工学は、学際融合的な発想を身につけた研究者や専門軸のしっかりした企業人等を生み出しながら、時代を超えてその輝きを保っています。情報学研究科以降の数理工学は、数学と力学に加えてコンピュータをまた自家薬籠中のものとして、新たな発展を遂げています。
都大学の数理工学がめざすのは、工学の形式的な理論化 (Mathematical Engineering)ではなく、数学と力学に裏付けられた工学の方法論の確立(Applied Mathematics & Physics)です。数理工学を通じて初めて見える数学のおもしろさ「機能数理」もあります。生命科学や金融工学といった新しい対象から新しい「数理モデル が提供され、数理工学はどんどん豊かになっていきます。学部時代を工学部で過ごさなくても、数学と力学、そしてコンピュータとその応用に興味を持つ人ならば、誰でも数理工学の入り口に立つことができます。興味をもったら気軽に専攻説明会に参加してみて下さい。数理工学専攻に集う若い才能に期待しています。

(なかむらよしまさ)
お問い合わせ先:〒606-8501
京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻 専攻長宛
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Last-modified: 2021-03-04 (木) 02:21:23 (1142d)