在校生・卒業生の声

石川達也さん

2007年数理解析分野(中村研)、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基 礎研究所
     
  • 現在やっていること
     
    私の現在の仕事は、物理現象などに関する数値シミュレーション を、スーパーコンピュータを用いて高速に実行する技術を研究する というものです。近年、様々な自然現象に対して、数値シミュレー ションで解析を行うという手法が盛んに行われています。私は、こ のような要望をお持ちのお客様に対して、最適なアルゴリズムの開 発や選択、実装を行うことを通して貢献することを目指しています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    学生時代には、汎用的な数値計算法の数理を中心に学びました。現 在の私の仕事には、このような、学生時代に学んだ数値計算の知識 が直接活かされています。また、ある特定のアプリケーションを扱 う場合には、そのたびごとに、個別の自然現象に関する深い理解 や、その特徴を活かした算法の具体的な構成方法など、新たに学ば なければならないことがたくさんありますが、そのようなときに も、これまで培ってきた数理的な考え方が間接的に活かされている と思います。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    数理工学的な手法は、問題解決の基本的で普遍的な方法です。モデ リングにより物事の本質を捉えられれば、その分析を通して得られ た知見や、定量的な評価を伴う主張は、非常に信頼性や説得力のあ るものになります。ビジネスは問題解決の積み重ねです。社会に出 た後、数理工学を学んだ強みを活かすことの出来る場面には、いく らでも出会うことになると思います。
     

江尻健志さん

2007年最適化数理分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    トヨタ自動車株式会社 第1シャシー設計部 第12シャシー設計室 ブレーキグループ
     
  • 現在やっていること
     
    私は昨年9月に現在の職場に配属されてから、ブレーキ部品の設計の仕事に携わっております。設計とは言っても、ただ図面を書くだけでなく、試作品での実験を実験部隊と調整し、性能を確かめたり、工場やサプライヤと図面内容を相談したりしながら、最終的な製品形状を決定します。製品の性能は全て図面に表されていると言っても過言ではなく、責任は 大きいですが、その分やりがいも感じられる仕事です。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    自動車のブレーキ設計という仕事柄、機械や材料力学の知識が必要な場面が多く、数理工学の知識を生かす場面は、ほとんどないと言っていいでしょう。しかし、実際の業務では、全ての仕事が予定通りスムーズに進むということはありえないことで、必ず何らかの問題に直面します。そのような時、いかに正しく問題を把握するか、そしてそこからの論理的思考の積み重ねが、原因の追究と、問題の解決に導きます。この思考力こそ、数理工学から学んだものです。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    現在の私の職場は、設計ということからか、情報系の出身は私以外にはおらず、ほとんどは機械系の出身のようです。だからと言って仕事についていけないわけではなく、学生時代に論理的思考力を鍛えられたことが、今生かされていると日々感じています。数理工学で学んだことは、本当に応用範囲が広く、直接使える機会はなくとも、生かせる場面は数多くあります。学生のみなさん、大学院にいる今だからこそ、とことんまで研究をしてください。将来どのような進路を選んでも、必ず生かせるときが来るはずですから。
     

大村宗右さん

2008年3月 制御システム論分野(太田研) 、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    ブラザー工業株式会社
     
  • 現在やっていること
     
    現在はまだ研修中であり、 C言語やアセンブラを用いた組込みのプログラミングの演習をしています。また、どの会社でもそうですが、グループ行動をとても重要視しており、グループワークの進め方や連携の仕方なども学んでいます。研究室ではあまりしなかったことであり、新鮮な気持ちで研修を受けています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    やはりまだ研修中なので、今現在はほとんどかかわりがないのが実情です。今後の仕事内容を考えても、 4回生や修士のときの研究内容を直接生かすことはまれだと思います。ですが、数理工学的な考え方は使おうと思えばどこででも使えると思っています。ある問題を解決するために、どうやって解決するかではなくまずなぜその問題が起きるのかを考え、より本質的な原因を探る。数理工学的な考え方を使うことでこのようなことも可能となり、より汎用的な解決策を生み出すことができると考えています。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    社会人になってまだ1年目ですが、今思うことは何かしら趣味を持っていればよかったということです。私は現在研修中ですが、それでも休日を単に寝て過ごしたり、だらだら過ごしていて、とてももったいなく感じています。特に研修後は残業が多く、よりもったいなく感じることでしょう。もし何かしら趣味を持っていれば、それに没頭する時間を作れますし、週末を楽しみに平日の仕事もがんばれることでしょう。学生の間は時間がたっぷりあります。勉強や研究をすることはとても大事ですが、それとは別にいろいろなことに興味を持って趣味を見つけることも案外大事ですよ。
     

木村祐一郎さん

2006年力学系理論分野(岩井研)、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    明治安田生命保険相互会社 総合法人業務部 年金数理グループ
     
  • 現在やっていること
     
    保険会社や信託銀行等はアクチュアリーと呼ばれる資格をもった保険数理の専門家を擁しています。私もこの候補者として採用され、現在は企業年金に関わる数理計算業務を行う部署で働いています。少し具体的に書くと、計算対象となる会社の年金制度に基づいて、
    1. 給付現価:将来の昇給や退職率、死亡率などを考慮して将来の予想給付額の現在価値
    2. 収入現価:現在の制度加入員から予想される、将来の掛け金の収入の予想額の現在価値
    3. 責任準備金:1)と2)の差で現在持っておかねばならないお金
     
    などを計算し、決算時にその会社の実際の年金資産等と比較して財政検証作業を行い、結果を報告するというものです。他にも退職給付会計に関わる債務の計算などを行っています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    アクチュアリーというと数学科の人の比較的メジャーな就職先というイメージがあるかと思います。実際、基本となるのは確率・統計の考え方であるため、世間一般の感覚からすれば相当に複雑な計算をしているわけですが、微分方程式や、微分幾何学的な考え方を援用するような機会は今のところありません。このため直接的な関わりという意味では薄いかもしれません。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    学生時代を振り返ると、当初の予定よりもだいぶまったりと過ごしてしまって若干後悔することもありますが、コロキウムや先生との対話を通して多少なりとも岩井研のエッセンスは吸収できたかなと思っています。この専攻の方はそうでない方が多いと思いますが、学生の時の研究など忘れてしまう人が多い中で、仕事と全く関わりがないにもかかわらず2年以上経過した今でもけっこうよく覚えています。みなさんも愛着の湧く研究ができることを願っています。
     

祖父江謙介さん

2004年 離散数理研究室、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    A.T.カーニー株式会社
     
  • 現在やっていること
     
    経営コンサルタントとして、官公庁・金融から製造業、小売業等々の幅広い業界を対象に、戦略・組織等から実際のオペレーションまで幅広く、コンサルティング活動を行わせて頂いています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    直接的な関係はありませんが、入力と出力で物事を捉えてみる、定量的に物事を捉えてみる、数式をつかったモデルとして物事をとらえてみるといったような、数理工学的なものの考え方は、自分にとって未知の分野にアプローチする際に、非常に役に立っています。また、仮説を立案し、その仮説を検証し、フィードバックして、仮説を真実まで消化させていくというコンサルティング業務の流れは、研究室で行った実験と似ている部分があり、業務遂行の面でも活きています。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    大学生活は、かけがえのない時間です。研究も大切ですが、思いっきり遊んで、笑って、そして泣けるような様々な経験をして頂ければと思います。私自身、学生生活で得た人間関係、その他の経験は、失敗経験を含めて、研究室での研究以上に人生の糧となっています。
     

松田雄馬さん

2007年度物理統計学分野(宗像研)、修士課程修了

 
  • 現在の職場
    日本電気株式会社 中央研究所 システムプラットフォーム研究所 ワイヤレスアクセスネットワークTG
     
  • 現在やっていること
     
    入社してしばらくは、無線の電波伝搬解析シミュレータRADIOSCAPE-WiMAXの開発に取り組みました。携帯電話などの基地局からの電波がどこまで届くかを、地図上に可視化するシミュレーションツールです。このツールを基にして、現在は、基地局の設計に携わる様々な部門の技術者が協調してディスカッションできるシステムInteractive Wireless Network Designの研究開発に取り組んでいます。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    大学院の頃は、確率論・統計力学に関する幅広い分野を勉強し、ニューラルネットワークの数理モデルを用いた研究に取り組んでいました。現在の研究内容は無線のシミュレーションなので、研究内容は大きく変わりました。しかし、大学院での研究活動を通して得た知見は、十分に活かされています。例えば、無線の通信方式を勉強する際には確率モデルの知識が不可欠であり、大学院で培った確率論の知識が、これまでは未知の領域だった無線通信という分野への導入をスムーズにしてくれました。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    入社してすぐに私は、会社の2つのサークルに所属し、昼間はマラソン・夜はボウリングという充実した生活を送っています。仕事は確かに忙しいですが、週末も有給休暇もあるので、時間の使い方次第では、学生生活より充実した生活が送れるのではないかと感じています。しかし、社会人は学生と違って長期間休むことができないなど、社会人と学生とでは、時間の感覚が異なるのも確かです。学生の皆さんには、学生時代にしかできないことを一生懸命にやって、悔いのない学生生活を過ごしてもらいたいです。企業での研究生活をしていると毎日感じることですが、“良い物を作れば売れる”これまでの時代とは違い、これからの時代の研究者は、新しい価値を創り続けなければ生き残れません。さらに、社会に出ると、周囲は専門家ばかりです。企業での研究は、教授や准教授レベルの技術力をもった専門家に囲まれて行うような研究活動です。だからこそ、数理工学専攻で得た、生物物理から経済モデルに至るまでの幅広い知識や、数学を用いたモデル化という考え方は武器になります。自由な時間を豊富に費やせる学生時代に少しでも武器を磨き上げて、数理工学専攻を修了した技術者・研究者として大活躍されることを期待しています。
     


Last-modified: 2012-05-02 (水) 16:46:02 (1818d)