在校生・卒業生の声

東雅樹さん

2004年物理統計学分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    三井物産(株) 商品市場部
     
  • 現在やっていること
     
    商品先物取引・商品の店頭デリバティブ取引業務を行う部署内で、 リスクマネージャーとして、 市場リスク・カウンターパーティーリスクの分析業務を中心に行っております。 更に細かく分類すると、 (1)市場リスクに焦点を当てた分析・リスク管理方法提案業務、 (2)リスク管理ツール(モデル)の研究・開発業務、 (3)規制対応業務、 (4)日次リスクモニタリング業務になります。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    数理工学の広義の意味として数理的思考『複雑な現象を単純化した上で数理モデル化しそのメカニズムを捉える』と定義すると、 ほぼ全ての仕事で数理的思考を用いています。 例えば、仕事内容を単純化し主要な現象をモデル化した上で将来予測・制御・軌道修正するといった事です。 現在に至るまでに、邦銀・米銀でトレーディング周りの仕事に従事しておりました。 銀行で行うトレーディング業務とは、 (1)債券・外国為替・商品先物等の自己裁定取引、 (2)顧客への金融商品の組成・販売をする事になります。 どちらの業務でも或る商品を安く仕入れ、高く売る事で {その値差(売値-買値)×(或る商品の数量)} だけの収益を獲得する事になります。 数学モデルを用いて最適化する事が数理工学との狭義の関わりです。 (1)の業務では将来価格を予測し、 その上で収益化する為の数量を決定する際に最適化手法が用いられる事が多いです。 (2)の業務では顧客に商品を販売する上で数量は予め顧客ニーズに基づき決定されているので、 将来価格を予測した上で、顧客への商品の価格提示を行います。 その前後で顧客へ価格提示した際に用いた将来価格予測モデルを用いてマーケットでヘッジする際の数量を最適化する事が一般的です。 その他でも将来価格予測モデルの選定をする上での価格の時系列分析に主成分分析が用いられ、 モデルのパラメータ推定には最尤推定法が用いられる事が多く、 数理工学で学んだ数学スキル・コンピューターシミュレーションスキルはトレーディングの現場でも多く用いられています。
     
  • その他(学生の皆さんへ)
     
    京都大学では、数理工学の英語訳であるapplied mathematics and physicsのapplyの意味は (1)当てはまる、(2)応用するといった事になると思います。 小生が宗像研に在籍している頃には、佐藤先生の下、経済物理分野で研究をさせて頂き、 独学で金融工学を学んでおりました。 実務上金融工学を用いる事が多かったですが、 2009年のリーマンショックを機に金融工学で一般的に用いられる物事を単純化し、 既存の数学モデルに当てはめ(apply)解を求めるといった行為の是正の流れが生じました。 統計力学的な視点でミクロの挙動に着目し、 マクロ的視点で考察する事が金融の現場では、益々必要になると思います。 その意味でも研究を通じて、モデル化する上で着目するべき現象の抽出、 ミクロ的な挙動からマクロ的な挙動へのモデル化といった所謂model creationの流れを学ぶ事が出来た事は非常に貴重な経験であったと考えております。 ご卒業後、数理的思考・コンピューターシミュレーションスキルが周りから重宝されるのは勿論ですが、 学生時代に一心不乱に研究に没頭し吸収した事がその後の人生で思いがけず役立ち道が開ける事が有ります。 自分にしか出来ない仕事する為にも幅広い研究を頑張って下さい。

伊藤好彦さん

2011年最適化数理分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    NTTネットワークサービスシステム研究所
     
  • 現在やっていること
     
    交換機によって構成されるNTT東日本/西日本の電話網を、 2025年にIPに基づくネットワークへ移行(マイグレーション)することが発表されました。 私は、そのマイグレーションに伴う、電話網のIP化に向けた技術検討を行っています。 特に、マイグレーションに伴い、他社と相互接続のあり方について検討会が立ち上がっており、 研究所として事業会社(東日本/西日本等)に対する技術支援を行っています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    直接的な関わりはありません。 しかし、将来のサービス条件等が見えない中で、どのような仮定を置き、 どんな考えのもと検討を行うのかという、 論理的な考え方は数理工学を通して身についたと思います。
     
  • その他
     
    社会人になると、様々な仕事を同時並行ですすめることになり、 学生時代のように集中して一つのことを考え抜くということがなかなかできなくなります。 ただ、学生時代にそのようなことを経験したおかげで、 今でも難しい課題に対しても自分なりに調べ、 深く考えることができるようになっていると思います。 ぜひ、数理工学を通して、深く考える経験を積んでほしいと思います。
     

今道貴司さん

2009年離散数理分野、博士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所
     
  • 現在やっていること
     
    私は現在主にエージェントベースの交通流シミュレーションに取り組んでいます。 道路工事による道路の規制、事故や災害による道路の閉鎖、新設の道路などが、 交通量にどのような影響を与えるかなどを調べるためのものです。 また、交通シミュレーション以外の最適化の研究にも携わっており、 例えば液晶ディスプレイの光拡散フィルムに使われるドットパターンを最適化の手法で高速に生成する研究を行いました。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    交通流シミュレーションの中では、 エージェントの経路を決定する部分など様々な場面で最適化が登場するので、 数理工学で学んだ最適化の知識は仕事をする上で不可欠なものです。 また研究所内には様々な分野の専門家がいて、 彼らが取り組んでいる問題に最適化が関係することがあるので、 そういった場合に私が最適化の専門家として手伝うことがあります。
     
  • その他
     
    学生のみなさんには、 ぜひ自分の将来何をしたいかを見据えた上でそれを実現するために学生時代の時間を有効に利用して欲しいと思います。 研究や勉学に励むのはもちろんなのですが、 自分の興味のある分野を含めて様々な分野の人と交流することで視点やネットワークを広げることも大切だと思います。

日比厚裕さん

2012年制御システム論分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    新日鉄住金株式会社 技術開発本部
     
  • 現在やっていること
     
    製鉄所で製造された鋼板の表面形状がどのようになっているかを計測する業務に就いています。 製鉄所は高温であるだけでなく、大量の蒸気や不規則な振動が常につきまとう場所です。 そのような悪環境下でも正確な計測ができるような仕組みを考えています。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    まず挙げられるのは、シミュレーション技術でしょうか。 大学院時代に得た知識がほぼそのまま生かせています。 また製鉄プロセスには制御理論や最適化理論、 モデリングといった数理工学専攻で学ぶ手法が数多く用いられています。 そういう意味では、現在の仕事と数理工学とのつながりはかなり強いと思います。
     
  • その他
     
    数理工学専攻出身の先輩は特定の分野だけではなく幅広いフィールドで活躍しています。 逆に言えば幅広いフィールドで通用する知識を得られるのが本専攻の大きな特徴です。 他研究科、他専攻に比べて規模は小さいかもしれませんが、 卒業するときには期待以上のものが得られると思います。
     

槇原嵩太さん

2012年数理解析分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    住友電気工業株式会社
     
  • 現在やっていること
     
    住友電工ではパソコン・携帯電話向けのドライブルート探索、 交通情報提供サービスなど「テレマティクス」のシステム開発を行っています. 私はその中でカーナビゲーションの開発に携わっておりデータベースの設計などの業務を行っています.
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    就職してまだ間もないため携わった業務は少ないのですが, 数理工学で学んだことが直接活かされることはほとんどないでしょう. ですが大学で学んだ幅広い情報学の知識は新しい分野を勉強する際, 役に立つだろうと思います.
     
  • その他
     
    この「卒業生の声」を書くにあたり,過去の卒業生の声を読んだのですが, 多くのOBの方々が学生時代の研究内容とは異なる業務に携わっていると書かれている一方でその業務のバラエティの多さに驚かされました. 企業に就職する場合,大学での研究を直接活かせるような職種に就くことは稀ですが, そのことが先入観を捨て幅広い選択肢を与えてくれることと思います. 就職活動では自分の興味に合致する会社が見つかるよう面倒くさがらずに多くの会社を見て回ることをお勧めします.
     

松本昇吾さん

2011年力学系理論分野、修士課程修了

 
  • 現在の職場
     
    富士通株式会社
     
  • 現在やっていること
     
    社会インフラを支える基盤系のソフトウェアを扱う部署でインシデント対応業務に携わっています。 具体的には、例えばお客様先のシステムで何らかの事象が発生し調査依頼を受けた際に、 担当コンポーネントに関して原因調査を行いその結果を回答します。 調査にはサーバ、ネットワーク、 OSなどに関する幅広い技術的なスキルが求められるため、 常に新しいことを学びながら業務に取り組んでいます。
     
  • 数理工学で学んだことと現在の仕事との関わりなど
     
    数理工学の専門知識が現在の業務に直結するわけではありませんが、 求められる力に共通する部分はあると思います。 数理工学で培われる論理的思考力、複雑な問題を抽象化して整理する力は、 比較的規模の大きいソフトウェアの問題を扱う現在の業務には必須の力だと感じています。
     
  • その他
     
    (学生の皆さんへ) 大学時代に好きなだけ時間を投入して研究に取り組み成し遂げた経験は、 今後はなかなか実現することの難しい、一生残る貴重な経験となりました。 就職すると自分のために使える時間が少なくなります。 時間がある学生時代にしかできないことを見つけてそれに取り組んでもらえればと思います。
     


Last-modified: 2013-01-28 (月) 13:54:46 (1697d)