ごあいさつ

2022年度数理工学専攻 専攻長 山下 信雄


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数理工学は、数学、物理、計算機科学を応用して、現実社会の問題解決を目指す学問分野です。近年は、「数理、AI、データサイエンス」を支える工学的技術として数理工学の大切さが社会に認知されています。(技術の詳細については各研究室のHPをご覧ください。) また、工学的な重要性ととともに、人間社会に与える影響についても議論されるようになってきています。 レストランやホテルのおすすめサイトの順位や点数は一つの特殊なアルゴリズムによって決められることが多いです。そのような点数は、レストランやホテルの経営を左右することがあります。その結果、数理の一技術者が作成したアルゴリズムによって、その技術者と直接関係していない方々の収入に影響を与えます。また、最近では、結婚相手をマッチングサイトで見つけることも珍しくなくなってきました。マッチングサイトの中には,マッチング(ペア)ができないほど儲かるしくみのところもあります。その場合は、サイトの利益の「最大化」とマッチングの「公平性」にミスマッチが起こります。利益最大化を目指したアルゴリズムによって、利用者の人生に悪影響を与える可能性があります。また、SNSやニュースサイトのお勧めアルゴリズムによって、社会的分断が引き起こされていることが指摘されています。 このように、数理工学の影響力は、社会の情報化が進むにつれて、技術者が思う以上に大きくなってきています。数理工学技術を適切に利活用するためには、数理モデルやアルゴリズムの背後にある理論をきちんと理解し、数理リテラシーを高める必要があります。 学生の皆さんには、在学中に数理の本質を学習し、修了してからは自分の周りだけでなく、社会全体に貢献してくれることを期待しています。



令和4年度 数理工学専攻長 山下 信雄
(やました のぶお)


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京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻 専攻長宛
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