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*ごあいさつ [#a20ecc73]

**2017年度数理工学専攻 専攻長 永持 仁 [#j3060d7b]
**2023年度数理工学コース(大学院情報学研究科) コース長 梅野  健 [#j3060d7b]
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''&size(23){数};理工学''の専門分野名は,1959年4月,京都大学工学部に数理工学科が創設されたところから生まれました.その9年後に京都大学工学部情報学科が創設され,このあと,四半世紀の歳月を経て,1995年に工学部において,数理工学科と情報学科が統合されました.それぞれ現在,情報学科の数理工学コース,計算機科学コースに対応しています.また,1998年に大学院情報学研究科が創設され,そのうちの六専攻の一つとして数理工学専攻が誕生しました.数理工学科が設立された目的は,応用数学,応用力学および応用物理学に関する基礎知識を基盤とし,当時発展してきた制御工学,計算機工学,計画工学,システム工学などの総合的工学を取り入れ,工学全般にわたって広い視野を有する技術者ならびに研究者を養成することでありました.この分野横断的な視点は,現在では,工学にとどまらず,経済学,経営学などの社会科学にまで適用分野が広がり,計算機性能の向上,通信技術の革新に伴い,ユビキタス,クラウド,スマートコミュニティ,ビッグデータなどのキーワードで表されるように,常に最先端の情報数理システムの基盤理論を支え,ますますその存在価値の輝きを放ってきています.私が工学研究科数理工学科の学生であったとき,数理工学出身者は「社会に出てからも潰しがきく」と言われていました.あまり聞こえの良い言い方には思われないかもしれませんが,これは世の中の技術革新が進み,社会や産業のシステムが入れ替わっていっても,それを支えるため新たな手法を創出する数学的,物理的な基礎理論を,数理工学という学問分野は提供し続けていけるということなのです.いまや,大量のデータから知識を抽出し,システムの改善法を構築するために,情報構造を数理工学的に研究するデータサイエンスの確立が急務となっており,日本でも大学でデータサイエンティストを養成するための改革が政府主導で進められています.当専攻からの就職先は,重工業,家電・自動車メーカー,通信事業系企業,金融・保険・証券の会社から最近ではIT企業まで幅広いのが特徴です.今年度,就職担当として企業からの採用活動の話を直に伺っていると,自動運転技術をはじめ,AIが様々なところに利用されるようになり,数理,情報分野の人材を確保する要望がこれまで以上に非常に高まっています.インターネットが普及し,社会の仕組みが変わったのはまだ比較的最近のことです.これから将来,科学技術の革新により,いつ,現在流行りのシステムが無用のものなり,代わりの新しいシステムを構築し,効率よい運用・利用法の開発が求められるようになるか分かりません.そのようなときにでも,数理工学の学問は常に対処する術を生み出すことができる「しなやかさ」を持っているのです.時代を超えて活躍することのできる人材を輩出することのできる数理工学専攻で学んでみようという若人をお待ちしています.
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月1日、情報学研究科の一専攻化のため数理工学専攻が情報学専攻の数理工学準専攻という組織単位になり、学生所属組織が数理工学コースとなりました。これは1998年京都大学に大学院情報学研究科が発足して以来の大きな組織変更です。
その5日前の3月27日、&size(23){文};化庁が東京から京都に移転(戻って?)きました。この中央省庁の移転も、明治維新以来の初めてのことです。これからは名実とともに文化の中心である京都で学ぶことができるのです。
これらの滅多にあることがない変化はほぼ同時に起きています。これらの変化が"いま"起きているのは何か意味があるのでしょうか?一専攻化とは組織の見通し(まとまり)をよくするというのが意図だと思います。ばらばらというよりは、より相互作用が生まれやすい協同現象が起きやすい組織にするという意図だと考えます。一方、京都は文化財の集積地です。ばらばらよりは集積。そこで何か新しいものが生まれるという地であります。


&br; これらの変化は一見全く関係のない偶然の一致の様に見えます。しかし数理(工学)を学ぶものは、&size(23){蛍};の点滅が同期して起こる様に自然現象には"引き込み"という協同現象があり、一見バラバラに動いていたものが相互に作用すると"同期"する(同じ変化をする)ことを知っています。この同期現象を通信に応用する研究もされています。またその同期現象が起こる数理的なメカニズムも解明しつつあります。多くの人があとからこの時のことを時代が変わる転機点であったと呼ぶかもしれませんが、我々はこの"偶然の一致"がもしかして"引き込み"という協同現象ではないかと"数理的想像"をたくましくし、さらにはその数理的メカニズムを解明し、それを工学だけでなく、(社会)システムや社会現象にも適用しようと考えているのです。我々は&size(23){自};由です。何ものにも束縛されません。数理の適用範囲は工学の特定分野に限定されないという普遍性が我々数理工学の強みです。

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今年の春も京都は多くの観光客で賑わっています。先日も共同研究者が来た時、東山三条あたりで宿泊すると最低でも一泊3万円を下らないと言っていました。&size(23){ダ};イナミックプライシングです。価格を変えることで需供の調整をするのです。ここにも数理が関わってきます。ダイナミックプライシングはホテルや飛行機などだけでなく、鉄道インフラなどより広い領域に使われ始めています。多くの人は高い、安いと感じるだけで設計する側も試行錯誤を繰り返している様に見えますが、数理工学の理論によって、この価格が最適値かどうかあるいは公正な価格であるか否かを評価することができる様になります。
諸行無常は不変の真実です。ただ、その数理工学の理論はその変化を傍観するだけでなく、変化の数理的意味や背景といったことを考えることができます。またこれらのデータに潜む特徴を可視化することもできます。皆さんと一緒に、数理工学の新しい可能性を切り拓いて行く、そしてそれが京都から世界に広がる。「夢なき者に理想なし, 理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」(吉田松陰)とも言います。ここではこの情報学研究科数理工学コース発足の日に一つの&size(23){夢};を披露させていただき、挨拶の代わりとさせていただきます。

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RIGHT:数理工学専攻長 [[永持 仁:http://www-or.amp.i.kyoto-u.ac.jp/~nag/]]
RIGHT:令和5年度 数理工学コース長 [[梅野 健:http://www.amp.i.kyoto-u.ac.jp/]]
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RIGHT:&size(9){(ながもち ひろし)};
RIGHT:&size(9){(うめの けん)};

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|BGCOLOR(#006666):COLOR(#FFFFFF):&size(12){お問い合わせ先:};|&size(12){〒606-8501}; &br; &size(12){京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 数理工学専攻 専攻長宛};|
|~|&size(12){E-mail:};&mail(amp-senkocho@amp.i.kyoto-u.ac.jp);|
|BGCOLOR(#006666):COLOR(#FFFFFF):&size(12){お問い合わせ先:};|&size(12){〒606-8501}; &br; &size(12){京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 数理工学コース長宛};|
|~|&size(12){E-mail:};&mail(amp_senko-cho@amp.i.kyoto-u.ac.jp);|

-過去のごあいさつ
--[[ごあいさつ(R4年度)]] 山下信雄
--[[ごあいさつ(R3年度)]] 永持仁
--[[ごあいさつ(R2年度)]] 矢ヶ崎一幸
--[[ごあいさつ(R元年度)]] 梅野健
--[[ごあいさつ(H30年度)]] 太田快人
--[[ごあいさつ(H29年度)]] 永持仁
--[[ごあいさつ(H28年度)]] 山下信雄
--[[ごあいさつ(H27年度)]] 矢ヶ崎一幸
--[[ごあいさつ(H26年度)]] 太田快人
--[[ごあいさつ(H25年度)]] 梅野健
--[[ごあいさつ(H24年度)]] 中村佳正